最近、キャンプ場の売店や地元の直売所で「信州産カラマツ」の薪を見かける機会が増えてきました。針葉樹でありながら、独特の重量感と赤みがかった木肌が特徴のカラマツ。今回は、この薪を実際に使う上でのメリットと、忖度なしの注意点を詳しくお伝えします。
広葉樹のナラやクヌギとはまた違った、カラマツならではの特性を理解して、焚き火の質を一段階アップさせましょう。
1. カラマツ薪の大きなメリット:圧倒的な火力と持続性
カラマツは針葉樹の中でも密度が高く、多くの油分(樹脂)を含んでいます。これが焚き火において大きな強みとなります。

・火付きの良さと火力の強さ:油分を豊富に含んでいるため、一度火が乗ると一気に温度が上がります。冬キャンプの暖取りや、高火力を必要とする調理には最適です。
・針葉樹とは思えない「持ち」の良さ:一般的なスギやヒノキに比べ、カラマツは木質が詰まっているため、火持ちが非常に良いのが特徴です。「火付きは良いが、すぐに燃え尽きてしまう」という針葉樹の弱点を克服したような特性を持っています。
・心地よい「はぜる」音:油分が多いため、燃焼中にパチパチと小気味よい音が響きます。これぞ焚き火、という臨場感を味わいたい方にはたまらない魅力です。
2. 【重要】扱う際のデメリットと注意点
非常に優秀なカラマツ薪ですが、扱う上で絶対に知っておかなければならないポイントがあります。

・【手袋必須】細かく鋭いトゲ:カラマツの乾燥薪は、表面に非常に細かく鋭い「トゲ(ささくれ)」ができやすい性質があります。素手で触ると、目に見えないほどの小さなトゲが刺さりやすく、しかも一度刺さると抜きにくいのが厄介です。カラマツ薪を扱う際は、必ず厚手の革手袋を着用してください。
・火の粉の飛び出し:油分が多く火力が強いため、時折パチッと大きく火の粉が飛ぶことがあります。化繊のテントやチェアを使用している場合は、距離を取るか、難燃性のシートを活用するなどの対策が必要です。
・煙と煤(すす):樹脂分が多いため、燃え始めや不完全燃焼時には黒い煙が出やすく、クッカーに煤がつきやすい傾向があります。これも「野生味のある焚き火」の醍醐味ではありますが、道具を綺麗に保ちたい方は承知しておきましょう。
3. カラマツ薪を最大限に活かす使い分け
カラマツ薪は、それ単体でもメインの薪として十分機能しますが、ナラなどの広葉樹と組み合わせることでさらに真価を発揮します。

まずはカラマツで一気に熾火(おきび)を作り、焚き火台の温度を上げます。その後、火持ちの王様である広葉樹を投入すれば、安定した熱源を長時間キープすることが可能です。信州の豊かな山々が育んだカラマツ薪。その力強い炎をぜひ一度体験してみてください。
【比較表】カラマツ薪 vs 一般的な薪
薪選びの参考に、カラマツと代表的な薪(スギ・ナラ)の特性を比較しました。自分のキャンプスタイルに合った組み合わせを見つけてみてください。
| 種類 | 火付き | 火持ち | 火力 | 主な特徴・注意点 |
|---|---|---|---|---|
| カラマツ(信州産) | ◎ 良い | ○ 比較的長い | ◎ 非常に強い | 手袋必須(トゲ注意)。針葉樹と広葉樹のいいとこ取り。 |
| スギ・ヒノキ | ◎ 非常に良い | △ 短い | ○ 強い | 焚き付けに最適。爆ぜやすく、すぐに燃え尽きる。 |
| ナラ・クヌギ | △ ゆっくり | ◎ 非常に長い | ○ 安定 | メインの薪に最適。熾火(おきび)が長持ちする。 |
もしもカラマツの「トゲ」が刺さってしまったら
前述の通り、カラマツの薪には細かく鋭いトゲがあります。「革手袋を忘れた」「うっかり素手で触ってしまった」という時のための応急処置を知っておきましょう。
- 無理に指で押し出さない:カラマツのトゲは非常に細いため、指でつまもうとすると中で折れたり、さらに深く入り込んだりしてしまいます。
- 毛抜き(ピンセット)を使用する:キャンプの救急箱に必ずピンセットを入れておきましょう。トゲの根元をしっかり挟み、刺さった角度と同じ方向にゆっくりと引き抜きます。
- テープを活用する:目に見えないほどの微細なトゲが密集して刺さった場合は、粘着力の強いテープを軽く貼り、そっと剥がすことで取れる場合があります。
- しっかり消毒を:トゲを抜いた後は、流水で洗い、消毒液などで清潔に保ちましょう。もし痛みが引かない場合や腫れてきた場合は、無理をせず医療機関を受診してください。
一番の対策は、やはり「薪を触る前に手袋をはめる」という習慣です。焚き火の準備を始めるその瞬間から、安全管理を徹底しましょう。
自然への敬意を込めて。今週末も、安全で素敵なキャンプライフを!
