キャンプを始めたばかりの頃は、誰もがこう思います。
「とにかく明るいライトが欲しい! 暗いのは不安だ!」と。
しかし、経験を重ねたベテランキャンパーのサイトを覗くと、意外なほど「暗い」ことに気づくはずです。
そこにあるのは、サイト全体を照らす爆光ではなく、テーブルの上で静かに揺らめく、小さなオイルランタンの灯り。
便利で明るいLED全盛の2026年に、なぜあえて「不便で暗い」ランタンが選ばれるのか。
今回は、ランタンの種類ごとの特徴を整理しつつ、JDバーフォードに代表される「小さな炎」の魅力に迫ります。
1. 適材適所。4大ランタンの「役割」を知る
「どれが一番いい?」ではなく「何のために使うか?」で選ぶのが正解です。
① LEDランタン(文明の利器)
メリット:安全、手軽、圧倒的な光量、スマホ充電も可能。
役割:テント内の照明、料理中の手元灯、ファミリーキャンプのメイン。
弱点:光が人工的で「味」がない。充電切れのリスク。
② ガソリンランタン(真夏の太陽)
メリット:最強の光量。気温が低くても安定する。
役割:グループキャンプのメイン照明。遠くに置いて虫を寄せるおとり。
弱点:「ポンピング」などの儀式が必要。メンテナンスが大変。音がうるさい。
③ ガスランタン(バランス型)
メリット:光量と手軽さのバランスが良い。CB缶/OD缶が使える。
役割:テーブルランタン〜メイン照明まで幅広く対応。
弱点:冬場はガスが冷えて光量が落ちる(ドロップダウン現象)。
④ オイル/パラフィンランタン(夜の魔術師)
メリット:炎の揺らぎ、燃費が良い、無音、デザインが美しい。
役割:「雰囲気」を作る。お酒を飲む時の相棒。
弱点:ハッキリ言って「暗い」。本も読めないレベル。
2. なぜ「小さな炎」なのか? 明るさを捨てる贅沢

フュアーハンドやデイツ、そしてJDバーフォードのようなオイルランタンが人気な理由は、ズバリ「焚き火をテーブルに置けるから」です。(ホントかよ!)
LEDの直線的な光は便利ですが、交感神経を刺激して人を「活動モード」にさせてしまいます。
一方で、オイルランタンの小さな炎は「1/fゆらぎ」というリズムを刻んでおり、見ているだけで脳がリラックスし、副交感神経が優位になります。
闇を消し去るのではなく、闇と共存する。
「暗いからこそ、会話が弾む」「暗いからこそ、星が綺麗に見える」。
この“引き算の美学”に気づいたキャンパーが、最終的にオイルランタンに行き着くのです。
3. 鉱夫の誇り。「JDバーフォード」という宝石

数あるオイルランタンの中でも、Campismが特におすすめしたいのが、イギリス・ウェールズで作られる「JD Burford(JDバーフォード)マイナーズランプ」です。
フュアーハンドなどの「ハリケーンランタン」が実用的な農具だとしたら、JDバーフォードは「重厚な工芸品」です。
歴史を纏う「真鍮(ブラス)」の輝き
元々は炭鉱(マイナー)夫が、命がけの地下作業で使っていたランプがルーツ。
最大の特徴は、ずっしりと重い真鍮(ブラス)や銅のボディです。
新品の時は金塊のように輝いていますが、キャンプに連れ出し、雨風にさらされ、手で触れるたびに、酸化して渋い色へと変化(エイジング)していきます。
10年後、自分だけのくすんだ色に育ったランプを眺めながら飲むウイスキーは、間違いなく格別の味がします。
不便さを愛でる
ガラスのホヤは小さく、芯の調整も少しコツがいります。
でも、その手間すら愛おしい。
燃料を入れ、火を灯し、ガラス越しに踊る小さな炎を見つめる。
それは単なる照明器具ではなく、大人の所有欲を満たす「宝物」なのです。
結論:夜を楽しむなら、照明は「暗く」あれ

もしあなたが、キャンプの夜をもっとゆったりと過ごしたいなら。
一度、メインのLEDライトを消してみてください。
そして、JDバーフォードやフュアーハンドの、頼りないほど小さな炎だけで過ごしてみてください。
そこには、煌々とした明かりの中では絶対に見えなかった、濃密で贅沢な時間が流れているはずです。
