インタビュー取材
福島県天栄村にある羽鳥湖畔オートキャンプ場。羽鳥湖の湖畔に位置するキャンプ場は、朝焼け、昼間、夕焼けとガラッと色を変える景色が魅力。特に夕焼けの「色」の変化には息をのみます。
また羽鳥湖を周回するサイクリングコースも、美しい木々のトンネルを気持ちよく走ることが出来るのでお勧めです。
道の駅羽鳥湖高原を過ぎるともうすぐそこ。羽鳥湖畔オートキャンプ場の旗が右側に見えてきます。車を下りると道を上ってきただけあって、涼しい心地よい空気を感じることが出来ます。
株式会社天栄村振興公社、株式会社TACプランニングへ
羽鳥湖畔オートキャンプ場は「村営」のキャンプ場。その管理を委託されて運営し始めたのが株式会社天栄村振興公社※の代表取締役の田代さん。
※2022年春より株式会社TACプランニング(同社長)になっています。
実は田代さんはすぐ近くの【羽鳥湖高原レジーナの森(現:エンゼルフォレスト那須白河)】の総支配人を去年まで務めてこられた経歴をお持ちです。キャンプイズムとして初めてお会いしたのはレジーナの森で、当時はスーツをビシっと着込んでいました。2017年に入ってから羽鳥湖畔オートキャンプ場のリニューアルに着手し、レジーナの森とはまた違った羽鳥湖畔オートキャンプ場の魅力を最大限引き出してきています。
キャンプ場の前は金融関係のお仕事をされていた田代さん。その後「家から近いし(笑)」ということでレジーナの森立ち上げから関わり21年。ご自身のキャンプ歴をまず聞いてみました。
子供のころは学校のキャンプで猪苗代湖の方へ行ったことがあります。いわゆる教育キャンプというやつですね。大人になり、金融機関の仕事をしている中で、家のすぐ近くにレジーナの森が立ち上がる話がきて、始め経理、総務、人事で仕事をすることになりました。2年目からは総支配人になり、そのころくらいからファミリーキャンプを楽しむようになりました。ただ、キャンプを楽しむというより、キャンプの楽しさを提供する側としてずっと来ていますよね。
田代さん
そんな「キャンプの楽しさを提供する」プロに色々と羽鳥湖畔オートキャンプ場の魅力を教えていただきました。
季節、時間、場所によって全く違う顔をみせる‟ロケーション”
「羽鳥湖畔」という名前から、湖畔にキャンプ場があるのはすぐにわかりますが、「ロケーション=湖」というと少し違うのが羽鳥湖畔オートキャンプ場。というのも、羽鳥湖畔オートキャンプ場でいう「ロケーションが良いよね!」というのは、単に湖に隣接しているというだけでなく、キャンプ場内、サイクリングロードなど動いた分だけ違う顔があり、更に季節、時間によっても全く違う顔を見せてくれるからです。
動いて初めて色々なものが見えてきて、何度も来ることで更に色々な「ロケーション」の魅力が解ってくるのです。
湖は時期によって全く違います。5月の連休前の新緑のころまではサイトからも湖がよく見えます。ここの湖は雪が山から溶けて入ってくる人口湖で、シーズンごとにその雪の量が違うので水量も全く変わってきます。雪が多い年もあれば、少ない年もあるように、シーズンによっても変わります。もちろん、時期によってまた「顔」が変わります。8月9月はここから下の田んぼに水を注いだ後なので、水面はずっと下に位置していますし。とにかく年、季節、そして夕焼けのときなど時間によっても毎回違う「顔」を見せてくれるのが魅力ですね。
田代さん
取材した日は夕日が抜群に綺麗な8月終わり。しかも日の入りの時間ころの湖面付近には風が治まり、夕焼けに染められた雲が湖面に映るという「顔」を見せてくれました。ものの10分ほどの貴重な時間でした。
キャンプ場内も様々な「顔」があります。小さな小川が流れ、自然に生えた苔、かわいいお花も咲いています。
ここのキャンプ場の魅力はどちらかというとキャンパーさんから教えてもらうことの方が多いですね。『○○がすごい素敵でした』、『ここの○○が気に入りました』という声をよく頂きます。そのたびに色々な魅力を教えてもらっています。
田代さん
羽鳥湖の様々な表情を観ることが出来るレンタサイクル
羽鳥湖畔オートキャンプ場から湖、そして来るときに通った道の駅へとレンタサイクルを使ったサイクリングが絶対のお勧め。キャンプ場だけでも色々な「顔」を発見できますが、サイクリングでより羽鳥湖周辺の自然環境の素晴らしさを実感することが出来ます。
緑のトンネルをくぐって走っている間は、木漏れ日と緑のコントラスト、そして風の音と小鳥のさえずりだけを感じることが出来ます。また、途中綺麗な川を見下ろせる吊り橋や、湖を違った角度から見ることが出来る展望台、少し休むための広場などがあります。ランチをもってサイクリングに行くのも良いかもしれませんね。
キャンプサイトは区画サイトかフリーサイトを選べます
キャンプサイトは大きく区画サイトとフリーサイトに分かれています。
段差で区切られた区画サイト
段差を利用した仕切りで、更にサイトとサイトの間に木が植わっていてプライベート感を高めているところもあります。また区画サイトは湖畔の傾斜に沿って創られているため、キャンプ場全体が立体的で、より‟自然の中”にいることを実感できます。
そして区画サイトは「木」が多いため、夏でもとても涼しく過ごすことが出来るのも嬉しいポイント。
貸し切り利用もできるフリーサイト
そして芝のフリーサイトがこちら。
周りをぐるっと木に囲まれています。撮影当日は毎年来られているサイドカー愛好家のキャンパーさんたちが集まってのキャンプでした。こういった貸し切り利用もグループキャンパーさんにはありがたい限り。
充実設備のコテージ
すぐ脇を小川が流れ、水の流れの音を聞きながら過ごせるのが羽鳥湖畔オートキャンプ場のコテージ。コテージは2種類あり、和室と洋室から成るタイプと、和室二部屋から成るタイプから選ぶことが出来ます。初心者でも安心できるコテージ内設備は充実し、食材以外手ぶらで楽しめるのも魅力。もちろん建物内にはトイレもお風呂もあり、ドライヤーがあるのも嬉しい限りです。
リビング・ダイニングはタイプによってレイアウトは違えど広々と過ごすことが出来ます。ソファーでくつろぐもよし、ダイニングテーブルでゆっくり食事をするのも良し♪バーベキューをしたいキャンパーさんは、大きいテラスに出て満喫することもできます。寝室は写真の2種類。ベッド派、お布団派、どちらも明るい部屋なので気持ちが良いっ。
建物内にトイレ、お風呂、洗面台があるのも嬉しいポイント。数泊するのにストレスなく過ごすことが出来ますね。
冷蔵庫はもちろん、電子レンジ、炊飯器は重宝します。キッチンで料理するにも広々としたスペースがあり、料理の幅が広がります。室内で調理したものを外で食べるのもまた気持ちが良いかもしれませんね。
家族風呂が人気のサニタリー棟
羽鳥湖畔オートキャンプ場のサニタリー棟には家族風呂までついています(管理棟脇のサニタリー棟)。田代さんが力を入れてリニューアルかけたうちの一つがこのサニタリー棟。
やっぱり清潔感あるのが大切。女性のキャンパーさんたちにも喜んでもらえるように壊れていたシャワーはすべて新しくしたり、貴重品管理、ドライヤーなど細かなところも喜んでもらえるようにしました。家族風呂も時間制の貸し切りにして、家族みんなの時間を大切に出来るようにしています。
田代さん
お風呂は脱衣所も広く作られ、家族でゆっくり入れるサイズ感になっています。シャワールームもそうですが、こちらもドライヤー完備です。シャワールームに鍵付きロッカーがあるのは他ではあまり見かけません。これなら安心して使うことが出来ますよね。
トイレは広く明るい造り。和式、洋式両方あり、掃除はもちろん行き届いています。
コインランドリーもついているので連泊も安心。洗い場はサニタリー棟A/B/Cすべてに設置されています。
「安心」を伝えるのが管理棟
羽鳥湖畔オートキャンプ場の管理棟では、キャンプ用品一式レンタルでそろえることが出来ます。売店は21時まで空いていて、宿直もいるので、羽鳥湖畔オートキャンプ場の管理棟は、単に管理棟としての機能だけでなく、安心できる要素が詰まった場所。
何でも揃うというのでキャンパーさんは安心だと思うんです。一式持っているキャンパーさんでも、キャンプ場にきて壊れてしまう、故障してしまっていることもあります。そういったときでもレンタル品は重宝されますよね。
田代さん
「心」があってこそ
たまにふと‟何人の人が自分の脇を通りすぎたんだろう、このキャンプ場に来て帰っていたんだろう”と思うんです。去年より今年は自分と会話を交わしたキャンパーさんがどれくらい増えただろうと。それは経営的な数字ではなく、うちのキャンプ場を好きになってくれた人が増えたという証拠ですよね。だから、「また来るね」とか、キャンプ場の良さを逆に教えてもらった時とかがやっぱり嬉しいですよね。レジーナの森にいた時に、レジーナの森で結婚式を挙げたカップルが数組ありました。そのうちの1組が3,4年経って子供を連れてきた時とかも実感できます。
田代さん
昔2,3泊したキャンパーさんの子供の歯ブラシを間違えて清掃スタッフが捨ててしまったことがありました。そのことをしっかりとお詫びし、新しい歯ブラシを街に行って買ってお子さんにお渡ししました。そうしたら子供がすごく喜んで、それを見たお母さんが更に喜んで、ということがありました。それ以降そのキャンパーさんはリピートしてくれています。
本当に基本的な当たり前のことなんですが、絶対に嘘ついてはいけないと思うんです。歯ブラシも、山の下まで買いに行かずに、見つかりませんでしたということは簡単なんです。けどそれでは「心」がないじゃないですか。
田代さん
また、ある満杯のときに「あいてませんか」とキャンパーさんがやってきたことがありました。フロントは一杯なんですと答えたんですが、3家族で3サイト予約していたけど、2サイトしか使っていないグループがいたことを思い出したんです。15分ほど飛び込みで来たキャンパーさんに待ってもらい、そのグループに事情を説明し、1サイト譲って頂き、そのキャンパーさんに宿泊してもらえるようにしたんです。そのキャンパーさんは茨城から今でも来ています。
キャンプ場は設備だけではだめ。それは最低限。人がいるだけでもだめ。そこに「心」がないと。
羽鳥湖畔オートキャンプ場のスタッフはこれまでのスタッフを中心に「心」をもって接するようにしています。
今年の4月に「良いキャンプ場ですね」と言われて本当に嬉しかったです。設備を整え、スタッフみんなで今シーズンの準備をして、「心」をもって接客した結果だと思っています。
田代さん
取材後記
「どちらかというと人間が好き」という言葉も田代さんの口から出てきましたが、経営的な話の中にある、ベースが「人」と「心」ということが伝わってくる時間になりました。
キャンプ場自体も、その「ロケーション」をシーズン、季節、時間を超えて何度も観てみたくなる魅力があります。キャンプ場にきて、スケジュールが決まっていない。唯一決まっているのは色々な「顔」を探すという楽しみ方かもしれません。
また本文には書いてませんが、夜になると本当に静かな落ち着いたキャンプ場になります。ゆっくりと落ち着いたキャンプを楽しみながら、自分にとっての魅力を探してみるのも良い過ごし方ではないでしょうか。
今後全国のこういったキャンプ場をキャンパーさんが喜ぶキャンプ場に変化させていくような仕事をしていきたいという田代さん。